The World Wide Web
Introduction
Webは比較的古風なハイパーテキストシステムであるが、人間の知識のプールという当初の目的を確実に果たし、むしろ当初の目的を超えて人間の知識が大量に集められた。そして、世界規模の情報とリンクしアクセス可能に成功し、これまでどの図書館にも収容できなかった程の量の情報を収容することに成功した。 本論
ワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web:W3)は、人間の知識のプールとして、離れた場所にいる共同研究者がアイデアや共通のプロジェクトのあらゆる側面を共有できるようにするために開発された。本章では、W3の概要、他のシステムとの比較、今後の発展について示されている。 1.W3の定義は何か?
この章では、W3の定義や構造が示されている。
・すべての項目が参照先を持ち、それを検索することができる無限の情報世界という考え方
・様々な異なったプロトコルがあるにも関わらず、アドレスシステム(URI)の実施を可能にしている ・W3のネイティブサーバーが使用するネットワークプロトコル(HTTP) は他では得られない性能と機能を提供する。 ・すべてのW3クライアントが理解する必要があるマークアップ言語(HTML)は、テキスト、メニュー、簡単なオンラインヘルプ情報のような基本的なものをネット上で送信するために使用されている。 2.Universal Resource Identifiers(URIs)
URI(Universal Resource Identifiers)とは、Web上のオブジェクト(メニュー、文書、画像など)のアドレスとして使用される文字列のことである。また、URLとURNの総称であり、web上でファイルがweb上のどの位置にあるかを表したり、web上での名前を表したりするものである。例えば、WWWプロジェクトのメインページのURIは次のようになっている。 接頭辞「http」は、アドレス空間を示し、残りの文字列の解釈を定義する。HTTPプロトコルを使用する際、文字列には、接続するサーバーのアドレスと、サーバーに渡す部分の文字列が含まれている。プロトコルによって異なる構文が使われるが、共通の構文も少しはある。例えば、一般的なURI構文では、階層空間を表現する方法として「/」を、オブジェクトのアドレスとクエリーを分けるために「?」を使用する。
3.Hypertext Transfer Protocol(HTTP)
HTTPは、ハイパーテキストを転送するためのプロトコルではなく、ハイパーテキストが飛ぶための効率的で必要な情報を転送するためのプロトコルであるため、おそらく間違った名称がつけられていると考えられる。転送されるデータは、プレーンテキスト、ハイパーテキスト、画像、その他、何でもありである。 4.HyperText Markup Language(HTML)
HTTPは、フォーマットを決めることは可能であったが、W3はハイパーテキスト交換のための共通の基本言語を必要としていた。HTMLはその言語であり、Webの構造の多くはHTMLで構築されている。HTMLは、人とプログラムの両方が簡単に作成できるようにシンプルに設計されているが、HTMLの「DTD(バージョン)」を含むSGML宣言が添付されていれば、SGMLパーサーで有効なHTML文書を解析できるように、SGML標準に準拠するようにも設計されている。ハイパーテキストの電子メール(MIMEのフォーマットとして提案されている)、ニュース、その他基本的なハイパーテキストが必要なところならどこでも使用することができる。数段階の見出し、箇条書きリスト、メニュー、コンパクトリストなど、選択肢を示すときやオンライン文書に便利な簡単な構造要素も含まれている。 5.W3と他のシステム
WAISプロトコルは、図書目録のネットワーク化のために設計された239.50プロトコルに大きく影響を受けている。これは、テキストベースの検索と、検索に続く検索を可能にするものである。検索対象となる索引は、マスター索引(データベース)を検索することで見つける。
Gopherはフリーテキストの検索機構を提供するが、主にメニューを使用する。メニューはタイトルのリストであり、ユーザはそこから1つを選ぶことができる。
3つのシステムとも、グラフィックス、サウンド、ビデオの提供を可能にしているが、WAISシステムはテキスト検索によるアクセスしかできないため、グラフィックス・ファイルを見つけるにはテキストを関連付けなければならない。
6.最近のW3の発展
W3クライアントの最初のプロトタイプは、NeXTStepを使用した「wysiwyg」ハイパーテキストブラウザ/エディタであった。私たちはラインモードブラウザを開発し、Xワークステーションのための優れたブラウザの開発を奨励した。
しかし現在では、ワークステーション用、MacintoshやIBM/PC互換機用、文字ベースのターミナルを持つユーザ用など、多くのブラウザーが提供されるようになった。
7.将来
今後数年間に期待される発展としては、次のような物がある。
・ドキュメントを場所に関係なく名前で参照できるようにするネームサービスの実現。
・より洗練された文書タイプ定義で オンライン資料の商業出版社のニーズ。
・同時進行のエディタや、電話会議、バーチャルリアリティなどのリアルタイム機能との統合。
・少人数のグループや個人による情報公開を容易にする、ローエンドマシン用の使いやすいサーバ。
Further Reading
・“Tim Berners-Lee / Great British Design Quest : Software Engineer (1955-) - Design/Designer Information” . Design Museum.
・Berners-Lee, Tim . “The original proposal of the WWW, HTMLized” . World Wide Web Consortium,1989.
日本語著書
・ティム・バーナーズ=リー・高橋徹,2001,『Webの創成-World Wide Webはいかにして生まれどこに向かうのか』毎日コミュニケーションズ.ISBN: 9784839902872